ストーリーテリングについて語るブログ

まとめるスキル

前回のブログで、自分がなぜ「書くこと」を好きになったのか、という話について書きましたが、その部分と自分がこれからやりたいと思っている「文字を通して、人、モノ、コトの魅力を表現していく」ことにどう繋がっていくのか、自分なりにここ数日、考えていました。

なぜ自分が「文字」に惹かれるのか、限られた文字数に表現することにこだわりたいのか、特に後者について、直接のきっかけとなったのは、音声型SNSのClubhouse「耳で読むビジネス書(耳ビジ★)」でした。こちらで紹介された柿内尚文さんの『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』と弓削徹さんの『届く! 刺さる! ! 売れる! ! ! キャッチコピーの極意』の週がとても印象に残っています。

モデレーターの下間都代子さんと柿内さん、弓削さん、それぞれのクロストークを通じて、本の内容のもさることながら、お二人の文字に対する向き合い方を知り、尊敬、驚嘆を感じたことを憶えています。また同時に、想像以上に細部にこだわり、日々トライ&エラーの繰り返しである、ということも知り、改めてどんな人でも「基本」を大切にしているのだな、ということを学びました。

そうした前提条件のもとで、なのですが、私は限られた文字数の中に、その本、商品の伝えたいエッセンスを凝縮して入れることの「美学」に惹かれました。それをきっかけに、本のエッセンスをまとめる「100文字ブックレビュー」を始めたのです(前述の「耳ビジ★」で紹介された本を中心に、細々とですが、こちらにアップしています)」

でも、「なぜ自分はそれを比較的抵抗なくできるのか」、については、正直なところ、「好きだから」としかわかっていませんでした。でも、今までの自分の人生を振り返っていて、ピンと来たのが「まとめるスキル」だったのです。

これまで、自分の経験してきた30年弱の社会人生活の中で、一つの組織の中でさまざまな部署を経験してきましたが、一貫して必要とされてきたのが、「ポイントをまとめるスキル」でした。特に色々な仕事、案件を上司や他部署、他社に説明・展開する際に必要とされるのが、「いかに簡潔に、ポイントを絞って説明できるか」だったのです。

若い頃は当然ながら、私も書く文書、メールや説明が冗長で「長すぎる」、「何が言いたいかわからない」と言われることがザラにありました。私自身、これまで書いたように、子供時代から「書くこと」だけは好きでしたが、それと「簡潔に要点をまとめて説明する」ことはイコールではありませんでした。でも、忙しい社内では、ダラダラと長いだけの、何が言いたいかわからない文書やメールはダメ出しこそされ、読んでもらえません。必然的に「ポイントをまとめるスキル」を身に付けざるを得ませんでした。

特に偉い人になればなるほど、長い文書を読む時間はありません。そんな人に対しては、よりポイントを絞った、「(A4)一枚紙」で書くことが推奨されていました。それは口頭での説明も同じです。まずは「結論」、そして「理由⇒例⇒結論」と続きます(これは「Point(結論)」、「Reason(理由)」、「Example(実例・具体例)」、「Point(結論)」の順で書く「PREP法」として知られていますね)。今私が「まとめるスキル」を多少なりとも身に付けられているとしたら、この社会人生活の中で培った「一枚紙」、「ポイントを絞った説明」の繰り返しの賜物だと思っています。

今、自分がやっている「100文字ブックレビュー」や、「ストーリーテリング」の勉強を通じ、知らず知らずのうちに、この「ポイントをまとめるスキル」が役立っていることに改めて気付きました。特に「ストーリーテリング」の練習では、人のストーリーを聞いて、気づきをフィードバックし合うのですが、私は人からこの部分を褒めてもらうことがあり、気づいたことでした。

ちなみに、ブックレビューを書くときはその本を1冊読み切った後にするよう、自分の中で決めています。本全体の内容を理解した上で、その作家の方が「本を通じて伝えたいこと」を文字にしたいからです(「耳ビジ★」では基本的に週に1,2冊紹介をしていますが、私の方が本を読むスピードが追い付かず、未消化な週も多々あります)。

このように、「書くこと」と今までの社会人生活は、調査の部署にいた数年間を除いては、あまりリンクしていないと思っていましたが、よくよく振り返ってみると、かなりの量の「トレーニング」を積んできていたことがわかりました。

一方、「ストーリーテリング」の手法である「ストーリーで話すこと」については「その人の経験、感情を言葉に載せて」話す必要があります。こちらはなかなか難しいです。今日も仲間と練習をしながら、「人の心を動かす」話し方って、難しいな、と話していました。でも、これを習得することができれば、老若男女を問わず、無限の可能性が広がる、最強のスキルとなる気がしています。きっと今後は職場でも、従来の平坦な伝え方ではなく「ストーリー」で話すこと、が求められる日が来ることでしょう。

今回は自分の今まで経験してきたことが、これから自分のやりたいこととリンクしていた、という発見について書きましたが、これは以前書いた「コネクティング・ザ・ドッツ」の話にも繋がります。あなたのこれまでやってきたこと、今やっていることも、きっと未来のどこかの「点」に繋がっていくかもしれませんね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

コメント

コメントする

CAPTCHA