ストーリーテリングについて語るブログ

企業に「ストーリー」が必要な理由~スターバックスの「サードプレイス」から学ぶ

現在世界的に成功している企業にも「始まり」がありました。そして、その成功の裏には「企業理念、ストーリー」があります。今や誰もが知るコーヒーチェーン「スターバックス」について、改めてその誕生ストーリーとそれを語る効果について、ご紹介したいと思います。

スターバックスと「サードプレイス」

1982年のアメリカ・シアトル。当時スターバックスで働いていたハワード・シュルツはイタリアのエスプレッソ文化に触れ、アメリカでも同様のカフェ文化を確立したいと考えました。美味しいエスプレッソが飲めて、心温まるカフェ文化が、なぜアメリカにないのかと思いました。でも、多くの人が「アメリカ人がコーヒー一杯に高いお金を出すなんて、ありえない」と疑いました。

1987年にスターバックスが売られることになった時、ハワードは投資家たちと一緒にこの会社を買収しました。ハワードがスターバックスを買収した時、彼はまずは高品質なコーヒーを売る店を作りたいと思っていました。しかし、店に足を運ぶ人々を観察しているうちに、彼は気づいたのです。人々はただコーヒーを買うだけでなく、友達とおしゃべりしたり、一人で読書したり、しばらくゆっくりする場所が欲しいことに。

そこでハワードは方針転換をしました。「サードプレイス」を作ることで、人々が心地よく過ごせる場所を提供しようと考えました。一つ目は家、二つ目は学校や職場。そして三つ目、それが「サードプレイス」です。そして、そのハワードの願い通り、現在スターバックスは人々が「静かに、ゆっくりできる場所」として大成功しています。

このストーリーを改めて見てみると、私自身もスターバックスにこの「サードプレイス」を求め、行っていることに気づきます(アメリカのスターバックスは日本ほど美しい店舗ばかりではないのですが)。

スターバックスを利用する人は、無意識のうちに、お店を利用する理由として「落ち着きたい」とか「じっくり読書(勉強)をしたい」という人が多いのではないでしょうか。同社の「サードプレイス」を提供するという企業理念が知らず知らずのうちに利用者の私たちに浸透していることが分かります。

でも、仮にもし同社がこの「サードプレイス」の考えをシェアしておらず、ただコーヒーと空間だけを売るお店だったら、私たち顧客もその他大勢のコーヒーショップの一つとして捉えていたかもしれません。それだけに企業理念をストーリーで語ることは、私たちのお店選びに大きな影響を与えています。

この「サードプレイス」という概念のほか、スターバックスがコーヒーチェーン業界で他社の追随を許さない理由としては、そのビジネス戦略と顧客対応の絶妙さが挙げられます。同社は直営店舗が多いため、どこでも一定の品質とサービスが提供することが可能です。さらに、専用アプリを通じて購買データを収集し、それに基づいて新商品やプロモーションを展開することで、販売促進を図ることにも成功しています。加えて、サプライチェーンの一貫した管理で、品質を保ちながらコストを抑えています。

ストーリーにはファンがついてくる!

成功している企業の裏には必ずと言っていいほど、企業の理念、思いを語った「ストーリー」があります。スターバックスは、ただ商品やサービスを提供しているわけではなく、それらを大切にしています。なぜこれが大事かというと、人は単なる商品やサービスではなく、その背景にある「ストーリー」に惹かれ、行動を起こすからです。

例えばスターバックスはただのコーヒーショップではなく、「サードプレイス」ですよね。この背景にあるストーリーが、私たちの心を動かし、行動を促しています。

企業がストーリーを語る理由、それは人々がそのストーリーに感じる共感や希望、安心感によって、深くそのサービスや商品に繋がってもらいたいからです。そうすることで、ただの顧客ではなく、長いつきあいができる「ファン」ができます。

これは何も大企業だけに限ったことではありません。もしあなたが飲食店に従事されているとしたら、あなたが「なぜこのお店を作ろうと思ったのか、どういうお客様に、どういう場所を提供していきたいのか」を語ることで、それに心を動かされる人がきっといると思います。

例えば、「子育て中のママがホッと一息つける時間を」というカフェ、「家に帰宅する前、一杯マスターとおしゃべりして、リセット時間を持ちませんか」というバーなど。
もちろん、それだけだと、お客さんの層が限定されてしまうかもしれませんが、もしお客様の中に「そういう方」がいれば、ピンと来て、「(その他大勢のお店の中から)あなたのところに来たい」と思ってもらえるのではないでしょうか。

皆さんは、何に心を動かされますか?それを考えながら、次にそのお店やサービスを利用するとき、その背後にある「ストーリー」も感じてみてください。

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この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

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