ストーリーテリングについて語るブログ

スピーチの極意(その2)~あなたの「話し方」が変わる8つのポイント

前回はスピーチの極意として、スピーチ原稿を作成する上での「内容」と「構成」についてご紹介しました。今回は実践編として「話し方」について書いてみたいと思います。

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8つのポイント

話し方は色々な要素がありますが、効果があるものを挙げてみます。

① 見られている(=緊張)⇒見ている(お役に立ちたい、伝えたい)へのマインド転換。

人前でスピーチやプレゼンをすると誰もが緊張します。それはあなたが「(普段とは違う)大勢の前で自分が見られている、晒されている」、という意識があるからです。逆に言うと、見ている方はそこまであなたのことを「さぁ、見てやろう!」という意識はないかもしれません。ここで大事なのはあなたがここで「話をする理由」です。スピーチの目的は一つではありませんが、恐らく多くの人は「自分の思いを伝えたい」「良いと思ったことを一人でも多くの人に伝えたい」という気持ちで話しているはずです。

そうであるならは、あなたは「(思いを)伝えるためにここに立ち、話をしている」という原点に立ち返り、話をしてみてはどうでしょうか?そうすると、今まで感じていた「見られている」という緊張感がスッとなくなるのではないかと思います。お試しください。

② 「お腹」のポジション(本心から「腹落ち」したことを話す)

これは以前ブログでもお伝えしましたが、言葉には「3つのポジション(頭、胸、お腹)」があり、多くの人は無意識のうちに「頭」や「胸」のレベルで話をしてしまっていると言います。一方、「腹落ち」「腹に一物ある」という表現に代表されるように、「お腹」のポジションはその人が「本心が考えていること」を伝える時に使われるポジションです。そのことを意識して、あなたが伝えたい内容をしっかり自分の中に落とし込み(腹落ちさせて)、語ることで、人への伝わり方がグンと変わってきます。

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これはなかなか具体的にやってみないと難しいのですが、これは「(ただ単に)感情やテンションを高ぶらせて話す(=胸のポジション)」とは異なります。こちらの佐藤政樹さんの動画が参考になるので見てみてください。

③ 抑揚・トーン(声のスピード、大小、高低)

抑揚・声のトーンも話の印象をガラッと変えます。例えば速く高いトーンで話すと快活でエネルギッシュな印象を与えますが、低い声でゆっくり話した場合、落ち着いて、安心感を与えることができます。また、プロのアナウンサーやナレータ、芸能人など話し方のプロと呼ばれる人たちと私たち一般人の話し方で一番違うところが「抑揚」なのだそうです。彼らはちょっとした言葉にもしっかり抑揚があり、それが話を印象付けています。機会があったらテレビやYouTubeを聞いてみて下さい。

④ リアクション・間(ま)

スピーチも会話と同じコミュニケーションだとすると、ただ一方的に話すよりは相手の反応を見ながら、リアクションを入れていく方が会場に一体感が出ます。例えば聞き手が驚いたり、笑ったりしてくれた時、何か反応をしますよね。

それから、「間」。何か大事なことを伝えたい時、目安として「2秒程度」の間を挟むと効果的だと言われています。例えばこんな風に使います。

「今一度考えてみて下さい、あなたが80歳を迎える時、どんな世の中になっているでしょうか?」
(2秒の沈黙(間))
「その時、20〇〇年には、今とは全く違う日本になっていることでしょう。そうなった時に~」

のように言葉の間に間を入れると、聞き手はその間に自分の思いを馳せるこができます。

緊張するとつい、「沈黙」を恐れて言葉を繋ごうとしてしまいますが、「沈黙もまた、スピーチを構成する大事な要素の一つ」です。沈黙を恐れず、効果的な「間」の使い方を練習してみて下さい。

⑤ 姿勢・カメラ目線(伝えたいことを強調したい時)

視線も大事です。原稿をずっと見ながら話す人は少ないでしょうが、つい不安で原稿に目を落としがちな人は、「ここぞ」という大事なポイントだけでも、正面(オンラインの場合カメラ)を見て話すことを心がけてみて下さい。また、リアルの場合は会場の一点だけでなく、前後左右など、視線を適度に動かすことで、聞き手は話し手であるあなたとの一体感を感じることができます。

⑥ハンドジェスチャー(強調、自分に視線を戻す効果)

ハンドジェスチャーをする効果として、①話を強調する、②自分に視線を戻す、という2つの効果があります。②についてはちょっと会場がざわついた時などに効果的なので、覚えておくと良いですね。

 

ハンドジェスチャーのTIPSとして、「手の高さ」によっても印象を変えることができます。通常はお腹の前あたりに手を出す人が多いと思いますが、顔の高さに手を持ってくることで、より強い印象を与えることもできます。こちらは名スピーカーと言われる人たちの動画などを見て、良い例を参考にしていくと良いでしょう。

⑦ 足の動き(壇上での移動)

こちらはリアルの会場限定になりますが、TEDのスピーカーを見ていても会場を動きながら講演する人が多いことにお気づきでしょう。代表的なのはスティーブ・ジョブズですね。日本ではまだ歩きながらスピーチをする人は少ないですが、スピーチの話の転換点などで物理的な移動をかませることで、より話を印象付けることができます。ただし、大事なポイントでは正面に戻って話をすることが大切です。

⑧ 不必要な接続詞(「あの」「えーと」などの言葉)を減らす。

私も含め、多くの人は訓練をしない限り、不要な接続詞(「あの」、「えーと」、「なんか」などの言葉のクセ)が出る人が多いです。これは訓練をして防ぐことができます。これらを防ぐために一番良い方法はまずは「現状の自分」を知ること。人によっては「拷問」のように感じる方もいらっしゃると思いますが、一度自分の録音や動画を見て、「自分がどれだけ「不要な接続詞」を入れて話しているか」という傾向を見てみましょう。その上で「まずは1分間、これらが出ないように話してみる」などのトレーニングをすることが効果的なようです。

また、そもそも「『不要な言葉」入り込む余地がない原稿を作る」こともできます。それは「極力一文を短くする」ことだそうです。これは、こうした言葉は長い文章を接続する目的で(「~で、えーと、それで…」などのように)使われることが多いため、文章自体を短くすることで、それを防ぐことができます。また文を「大きな声ではっきり読む」こともフィラーの防止になります。そうすることにより「余計な言葉」が入る余地をなくしていけるからです。

スピーチは「数稽古」!   

以上、「話し方」の8つのポイントについてご説明しました。それぞれの要素を再現すれば、あなたの話し方は劇的に変わっていくことでしょう。ここで大事なことはできるだけ多く数をこなし、実践すること(数稽古)です。職場で、プライベートで、1分でも話すタイミングがあったら、どれか一つでも実践してみませんか?

なお、あなたのスピーチ原稿のドラフトを簡単に作成してくれるGPTs(現在はChatGPT4.0以上の方対象)を作成しました。質問に答えるだけで簡単に原稿を作成してくれますので、最初の「たたき台」の作成に、ぜひお役立てくださいね。

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佐藤政樹さんのご著書はこちら。

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この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

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