今日も「ストーリーテリング」関連で、実際に「ストーリー」がどんなところで、どんな風に使えるか?、「ストーリー」が使えるとなぜ良いのか、について書いてみたいと思います。
商品・サービスの紹介
「ストーリー」が活躍する場として、一番に思い浮かぶのは商品やサービスの紹介です。「ストーリー」は(数ある商品・サービスの中で)なぜ、この商品(サービス)が良いのか、(数ある)コンサルタント・講師の中でなぜ、あなたを選ぶべきなのか、を際立たせてくれます。
例を挙げましょう。
あなたはアクセサリーを売っています。普通に商品を紹介した場合はこんな感じでしょうか。
「このペンダントは世界有数のパワースポット、ヒマラヤの石を使って作りました。パワースポットの力で、あなたの夢を叶えてくれます。商品は全てハンドメイドで心をこめて作っています。」
こちらが「ストーリー」を使って作った例です。
「私は一つ一つのアクセサリーを自分の分身だと思っています。なぜなら、私自身、石との出会いを通じて、色々な影響を受けてきたからです。私の祖母も母も、生涯お守りとして、一つの石を大切に持っていました。
そして、このネックレスは、私が20年来、ずっと憧れ続けていた、ヒマラヤ山脈に行き、暴風雨の中命がけで探してきた石で作りました。ヒマラヤ山脈は世界最大のパワースポットと言われています。私はどうしてもそのヒマラヤの石を使って、人々の心を癒すアクセサリーを作りたかったのです。こうして石を探すところから始まり、数ヵ月をかけてできたのが世界にたった一つだけの、このペンダントです。」
同じ石、同じ価格のアクセサリーであっても、背景にある「ストーリー」を聞き、心が動かされるのはどちらでしょうか?あなただったら、どちらを選びますか?
面接の場で
次に思い浮かぶのが面接の場です。入学、就職、転職など、私たちは色々な場面で「面接」の機会があります。その時に、もしあなたが面接官だったとしたら、どちらの人を採用したいでしょうか?
通常の例:「私は御社の『地球環境を守りたい』というポリシーに大きな感銘を受けました。世界の環境を守ることは世界の急務です。私は御社でそのことに関わりたいのです。」
「ストーリー」を入れた例:「私はかつて子供時代、海や川で遊ぶのが大好きでした。当時私の生まれ育った町には清流が流れていて、そこで私は水遊びをしたり、魚釣りをしたり、たくさんの楽しい思い出を作りました。小学校時代、私は夏休みの大半はそこで過ごしたのです。
その後、私は15年ぶりに故郷に帰りました。そこで目にしたのは変わり果てた故郷の川の姿でした。人間のエゴで汚れてしまった川を見て、私はとても居たたまれない気持ちになりました。これはほんの一例に過ぎませんが、私は人間の存在により、変えてしまった地球環境に対し、人間の手で何かできることはないか?と考えるようになりました。そのことが御社を志望した理由です。」
通り一遍の「御社の方針に」「社風に」と言われると、「本当にわかってるの?」と思ってしまいますよね。でも、それを自分の経験に落とし込んで語られると、たとえそれがすぐには実現し得ない「夢物語」であったとしても、なぜか印象に残りませんか?
日常生活・職場で
今度は誰にでもある、日常生活、職場での例です。
夕食のメニューが「ハンバーグ」だといういうことを子供に説明するお母さん。
通常の例:「今日の夕食はハンバーグよ。だってあなたが食べたいと言っていたでしょう?」
「ストーリー」を入れた例:「今日の夕食はハンバーグよ。1週間前、通りかかったレストランの前ですごくハンバーグを美味しそうに見ていたでしょう?私はその時『家でとびっきりのハンバーグを作ってあげよう』と思っていたの。それで今日はハンバーグにしたんだよね。」
お母さんにこう言われると、「えー?今日はカレーが良かったのに!」というお子さんも「そうだね、ハンバーグ楽しみ!」となるような気がしませんか?
職場で部下に仕事をお願いする場合はこんな感じです。
通常の例:「前例があると早いから、過去の〇〇関係の資料を明日の夕方までに出してね。」
「ストーリー」を入れた例:「過去の〇〇関係の資料を明日の夕方までに出してね。私は以前、過去の資料がないまま作ろうとして、すごく時間がかかった上に検討違いのものを出して、当時の上司に怒られたことがあったんだよね。だからそれ以来、必ず前のものを見るようにしているの。過去のものがあると時間の節約ができるし、イメージが湧いて助かるんだよね。だからお願いね。」
今日からあなたも「ストーリーのある生活」を
いかがでしょうか?このような感じで、「ストーリー」はTED TALKのような完全なスピーチの場でなくても、無数に作り、日常生活のあらゆる場で使っていくことができます。
「ストーリー」で語ることで、人は数ある商品(サービス)、人の中で、そのストーリーに共感した「あなたの提供するもの」や「あなた自身」を選びたくなります。なぜなら、あなたの発したストーリーに共感したり、ファンになったりしてくれるからです。今まで「人ごと」だった物事が「自分ごと」になるからです。
前回「ゴールデン・サークル理論」について説明しましたが、人は人の「もの、商品」ではなく、それを作る、提供する、あなたの「信念、理念」に共感して行動に移します。そのことを知っている人は、何かを紹介する時に、必ずその部分から話し始めます(ジョブズがiPhoneを紹介するとき、いきなりスマホを出さなかったように!)。
「ストーリー」や何かを提案する、お願いする「理由」をいつでも意識して考えることで、私たちのスピーチや普段の会話を大きく変えることができます。あなたも今日から「ストーリーのある生活」にシフトしてみませんか?
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