突然ですが、誰かに何かを改善してもらいたい時や主張したい時、あなたはどうしていますか?「〇〇だから、△△しましょう」と「正論」を伝えても、「わかるけど・・・」と相手が完全に納得していない感じはありませんか?
そんな時に活躍するのが、「ショート・ストーリー」です。「ストーリーテリング」の日常での取入れ方について、以前コツを書きましたが、今日は1,2分程度の「ショート・ストーリー」を使うことにより、相手に伝えたいことを効果的に伝える「コツ」について、2つの例をもとに、解説してみたいと思います。
例①:雨の日の車のライト
まずは、雨の日の車のライトについてのAさんのストーリーから始めましょう。Aさんはある雨の日に散歩をしていました。雨の中をゆっくり歩いていると、あることに気づきました。道行く車の中には昼間なのにライトを点灯している車と、そうでない車がいるのです。昼間なので、ライトをつけなくても見ることはできるはずであり、Aさんは最初「どうしてつけている車があるのだろう?」と思っていました。しかし、しばらく見ていると、雨の日は見通しが悪く、歩行者からは車の姿が見えにくいことを発見しました。だから、車を運転する人はライトを点灯することで、自らの存在をアピールし、事故を未然に防いでいたのです。
Aさんはこの雨の日の車のライトの件を通し、自分(運転者)が見える、見えないではなく、相手(歩行者)の立場に立って、行動することの大切さを学びました。つまり「自分だけでなく、相手の立場に立って行動する」ということです。
これを「正論」で、ストーリーなしで語るとこうなります。
「相手の立場に立って行動しましょう。」
例②:苦手だと思っていた人の話
次に、苦手だと思っていた人の話についてのBさんのストーリーを見てみましょう。Bさんは仕事仲間で以前から、ちょっと苦手に感じている先輩がいました。いつも怖い印象で、話しかけるのも勇気がいる人でした。そんなある日、職場で食事会があり、なんとBさんはその先輩と同じテーブルになってしまいました。Bさんは気が重く、ドキドキしていました。
しかし、食事の場に現れた先輩は、なんとBさんに手作りのシフォンケーキをプレゼントしてくれました。聞くと、その先輩は自分の担当のお客様にも同様に手作りのケーキを持参することがあるのだとか。話をしてみると、仕事熱心で会社やお客様への思いに溢れた方だということがわかりました。Bさんはこの件を通じて、「人は多面性があるもの、一面だけで判断すべきでない」ということを学びました。
これを「正論」で、ストーリーなしで語るとこうなります。
「人を一面だけで判断するのを止めましょう。」
ストーリーで追体験を
「ストーリー」で語っても「正論」で語っても、どちらも結論は同じです。でも、どちらが「本当にそうだなぁ」という共感が得られるでしょうか?「正論」で「相手目線で行動しましょう」とか「人を一面だけで判断するのは止めましょう」と言われても、「確かにそうだけど・・・」とわかってはいるけど、どうも腑に落ちないところがあるのではないかと思います。
一方、ストーリーで語ると、実際の情景が目に浮かび、その時のその人の気持ちを「追体験」することができるので、聞き手も素直に共感することができます。これが「ストーリーの力」です。
あなたも何か短いメッセージを伝えたいとき、こうした「ショート・ストーリー」を使ってみませんか?正論以上に、相手に届く伝え方ができますよ。
※本ブログのエピソードは現在受講中の山本光子さんの『夢を叶える話し方』講座やそのお仲間との勉強会で出たエピソードからご紹介しています。
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