前回はストーリーの作り方について取り上げ、「ワンメッセージ」の大切さについて説明しました。今回はその後に続く、「山と谷」、「感情が揺さぶられる出来事」、「視覚と描写」、「リアルな会話」などの要素について説明します。
感動の起承転結:「山と谷」
心に響くストーリーには「山」と「谷」が欠かせません。この落差が大きいほど、ストーリーはドラマチックになり、人々の心に残ります。例えば、何に対しても自信がなく、人前に出るのが苦手なのに、PTAの集まりでくじ引きをして、役員をやることになってしまったアキコ。この瞬間が「谷」です。最初は「貧乏くじを引いた」と落胆していました。しかし、役員活動を始めてみると、予想外に楽しく、多くの良いことがありました。これが「山」です。つまり、「日常(山)⇒事件(谷)⇒解決(山)」このような落差があるからこそ、そのストーリーは心に残ります。
感情が揺さぶられる出来事
感情を揺さぶる出来事は、ストーリーテリングにおいて欠かせない要素です。これがあることで、読者はより深くストーリーに没頭し、感情的なつながりを感じます。アキコの話で言うと「くじを引いた瞬間」や初めてPTAの会議に出た時の感情などは、明らかに感情を揺さぶる出来事です。例えば、シンデレラが王子様と再会し、ガラスの靴を履いた時などがそうした瞬間です。これらがなければ、そのキャラクターの成長や変化は単なる事実に過ぎません。
「視覚と描写」、「リアルな会話」でイメージさせる
視覚と描写も非常に重要です。視覚的なイメージを与えることで、ストーリーはよりリアルに、より感情的に伝わります。例えば、最初にくじを引いてしまってPTAの役員になってしまった場面、役員活動で出会った人々の笑顔や、その場の雰囲気を詳細に描写することで、読者はよりその場にいるような感覚を得られます。
視覚的な描写は、読者が主人公の感情に共感する手助けもします。アキコが最初に「貧乏くじを引いた」と感じた瞬間の心情や、その後の心境の変化を具体的に描写することで、心の葛藤や成長がより深く伝わります。
リアルな会話も、ストーリーに臨場感を与える大切な要素です。会話がリアルであればあるほど、読者はそのストーリーに自分自身を投影しやすくなります。例えばアキコが家族や友達から「最近イキイキしているね」と言われたことなどを入れてみましょう。それがリアルな会話であれば、そのメッセージはより力強く伝わります。
事実だけでは響かない
以上が、心に響くストーリーを作るためのポイントです。この話は一言でまとめると、「何事も自信のない主婦がくじを引いてPTA役員に決まり落胆。でもそこから奮起し、最後は多くのことを学んだ。何事もやってみることが大事。」という話です。
でも、ただこのように事実だけを述べるのでは、聞き手にも聞いている人にも、響くものがありません。一方で、事実を伝えるだけでなく、これらの要素を取り入れ、Before/Afterやその前後の心の動きや描写も入れてストーリーは人々の感情を動かし、心に残ります。
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