これまで「ストーリーテリング」について書いてきましたが、今回は「ストーリーの作り方」についてお話ししたいと思います(「ストーリングテリング」やその効果については以下をご参照下さい)。特に、ストーリーの「肝」である「ワンメッセージ(=最も伝えたいメッセージ)」をどうやって作るかについてお伝えします。
ストーリーの基本の組み立て方
ストーリー作成の第一歩は、何を伝えたいのか、その「ワンメッセージ」を明確にすることです。
例えば、ある主婦が「苦手だったPTAの役員になってしまい、戸惑っていたが、実際にやってみたら予想外に楽しかった」という経験をストーリーにするとしましょう。
こんな風に一つずつ作っていきます。
ワンメッセージ: 何事もトライしてみることが大事。
主人公: アキコ、40代の主婦。
日常: 何に対しても自信がなく、人前に出るのが苦手。
ある事件: PTAの集まりでくじ引きが行われ、アキコはPTAの役員に。
悩み・問題・葛藤: 「貧乏くじを引いた」と感じ、人前に出るのが苦手なのにどうすればいいか悩む。
出会いと解決の糸口: 腹を決めてやってみると、予想外に良いことがたくさん。
学び・教訓(=ワンメッセージ): 何事もやってみることが大切。
この場合のワンメッセージは「何事もトライしてみるとことが大事」です。上記をまとめてストーリーで話すとこういう感じです。
「私は何に対しても自信がない主婦でした。そんな私がある日、PTAの集まりでくじを引き、敬遠していたPTAの役員をやることになってしまいました。最初は『貧乏くじを引いた』とイヤな気持ちになりました。人前に出るのは苦手なのに、どうやってこの役割を果たせばいいのかと悩みました。
でも、いつまでも悩んでいては仕方がないので、私は腹を決めてやることにしました。始めてみると、役員同士の父兄や学校の先生と仲良くなり、楽しく仕事ができました。さらに、学校に行く機会が増えることで、我が子の様子をよく見ることができるなど、予想外に良いことがたくさんあったのです。
この経験を通じて、私は大きな教訓を得ました。それは『何事もやってみることが大切だ』ということです。もし私がこの役割を敬遠していたら、こんなにも多くの良いことはなかったからです。皆さんも、一見苦手だと思うことに思い切ってトライしてみて下さい。そうすることで私のように、違う景色が見えるかもしれません。」
ストーリーのカギとなるのは「ワンメッセージ」
ストーリーが人の心に響くかどうかは、その「ワンメッセージ」にかかっています。このメッセージがしっかりとしたものであれば、ストーリーは人々の心に響きます。そして、そのメッセージを効果的に伝えるためには、主人公の成長や心の変化、問題解決などの要素をきちんと入れることが大切です。
今回の話の場合、ワンメッセージは「何事もやってみることが大事」でした。そのメッセージを伝えるために、アキコの日常(何に対しても自信がなく、人前に出るのが苦手)~出来事(PTAの役員決めのくじ)~悩み・葛藤(「どうして自分が?」という思い)~出会い・解決の糸口(腹を決めてやってみると予想外に楽しかった)と各要素について説明していきます。
これらの要素を説明していくことで、「ワンメッセージ」がしっかりとしたものになり、説得力を増すのです。また、ストーリーを作る際は、「ワンメッセージ」とその他の要素が一致しているか確認することが大切です。その上で「ワンメッセージ」が強力であれば、そのストーリーは人々に感動を与え、行動を促す力を持ちます。
以上、今回はストーリーの作り方とその心に響く「ワンメッセージ」についてお伝えしました。次回以降は、それぞれの要素を語る際のポイントについてご説明します。
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