ストーリーテリングについて語るブログ

私と「書く」こと

前回は「ストーリーテリング」について書きました。今日はなぜ、私が「書くこと」が好きになったか、についてお伝えしたいと思います。

私は子ども時代、どちらかというと「どんくさい」子で、あまり要領が良い方ではありませんでした。家でおしゃべりをするのは好きでしたが、外では人見知りで、あまり色々な人と話をしたり、授業中積極的に発言をするタイプではありませんでした。今はどちらかというと積極的に映るかもしれませんが、昔はできるだけ人前に出たくない、壁のようにひっそりとしていたかったのです。

でも、本を読んだり、日記を書くのは大好きでした。皆さんも経験があるかもしれませんが、小学校の中学年くらいまでは、毎日日記を書いて先生に提出していました。先生からもらう、ポジティブなコメントがただ嬉しくて、毎日続いていたのかもしれません。それが功を奏したのか、「作文」を書くことも好きでした。当時は勉強で褒められるようなことはあまりなかったのですが、作文だけは学校でも評価してもらえることが多かったのです。

中学2年になった時、我が家は神奈川から東京に引っ越しをしました。
当時は思春期真っ盛りで、私もご多分に漏れず多感な時期でした。勉強もあまりやる気が出ないし、母が心配をして家庭教師を頼んだりもしましたが、当の本人はまったくやる気になりませんでした。部活も陸上部に所属はしていましたが、練習には出たり、出なかったり。学校から帰ると、当時はテレビで『夕焼けニャンニャン(どのくらいの人が知っているでしょうか?当時は秋元康さんプロデュースで一世を風靡した名物番組でした)』を見ることが楽しみでした。当時は今と違い、インターネットもSNSもありませんでしたし。

そんなある日、学校で作文を書く機会がありました。
普段だったらもう少し適当に済ませていたと思うのですが、なぜか「その時」は、原稿用紙にいつもよりエネルギーをかけて取り組みました。当時の自分からすると不思議なのですが、この時は日記や作文を嬉々として書いていた幼少期の自分に戻り、気づいたら当時の自分の気持ち、感じていることについて、筆がどんどん進んでいました。原稿用紙に書くことで自分の「気持ち」や「感情」と向き合っていたのかもしれません。

すると、その時私の書いた作文を国語の先生が褒めてくれ、朝の朝礼の場で、発表をする機会を得ました。当時転校生だった私は、あまり夢中になれるもの、誇れるものがない日々を過ごしていましたが、こうして先生がそんな私を見出し、評価してくれたことが、とても嬉しかったことを今でも憶えています。そして、その後はなんと学年の代表として、市の中学生の前で発表をすることにもなりました(東京都下の小さな市でした)。結局、その時は初の大舞台への緊張から、あまり上手に読むことができず終わったのですが、この経験は後の私に大きな影響を与えてくれました。

もう当時から約3〇年の月日が流れているのにも関わらず、未だにこの経験が私の書くことに対する自信というか、自己肯定感が上がった経験として、根強く残っています。その後もいくつかこういう人生のターニングポイントとなる経験がありましたが、この時を境に、私は色々なことに自信を持ち、積極的に取り組めることが増えていきました。

その後、社会人になってからは、多少「書くこと」に関係する仕事もあったのですが、大半はそれとは離れた世界にいました。そんな私でしたが、約1年半前、ニューヨークに駐在になったことを機会に、学び始めたオンラインサロンやSNSを通じて、SNSに投稿をしたり、ブログを書いたりするようになりました。そして、今年に入ってからは「コピーライティング」や「ストーリーテリング」についても学び始めています。

これらは全て、ニューヨークに来て以降の取り組みなのですが、そんな3〇年前の出来事が自分の「書くこと」を後押ししてくれているのは不思議だな、と思います。ちょっとした大人の「ひとこと」やそこから派生した出来事が、人の人生に大きな影響を与えるものなのです。それは植物に例えると、水や栄養分を与えてあげるようなものですね。たっぷりのお水や栄養分があれば、少しくらい日の当たらない時期があっても、生き続けられるのです(私のように)。

大人になり気づいたことは、自分の「強み」がわからない、という人が非常に多いことです(自分もその一人でした)。でも、皆自分では気づかない、その人だけの「魅力」があり、「強み」があります。私はそんな人たちに対し、「文字」や「言葉」を通して、それを表現することに貢献できたらと思っています。中学時代の先生が私の「書くこと」を発掘し、評価してくれたように、私も誰かの「強み」を応援する存在になりたいのです。

限られた文字数で本や商品、そして人の魅力を語ること、その人にしかない、オンリーワンの「ストーリー」で紹介をすることはとても夢があり、ワクワクする瞬間です。世の中には数式を考えるのが好きな人がいるように、私も文字の組み合わせやストーリーを考えていると、時間が経つのを忘れてしまいます。

そして、これは今私が海外にいることも関係しているのかもしれません。これまで私は、通算10年ほど海外生活をしているのですが、その経験の中で、やはり「日本語」の響きは素敵だな、と思いますし、外から見る「日本」は海外にはない繊細さ、しなやかさ、瑞々しさ、優しさに溢れる、魅力的な国です。そんな、日本を「外から見る」という自分の視点も生かしつつ、これからも楽しく文字を紡ぎ出していきたいです。

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この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

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