前回は「1分の話を3分にする方法」をお話ししました。具体的な描写や聞き手との共感ポイントを織り交ぜることで、自然と話を膨らませることができることが理解いただけたと思います。
今日は、せっかく作ったスピーチをより印象的にする「締めくくり」のコツをお伝えします。実は、スピーチが聴衆の記憶に残るかどうかは、最後の30秒でグッと変わるんです。
印象的な締めくくりの3つのパターン
1. 「物語を完結させる」締めくくり
前回からお話ししている徒歩通勤の例で説明すると:
「最初は単なる『通勤』に過ぎなかった時間が、今では私の大事な情報収集や気分転換の時間になっています。往復の通勤を通してこうして日々色々な発見をすることは、私のニューヨーク生活の大事なエッセンスになっています」
このように、冒頭の出来事に戻って、その後の変化や気づきを伝えることで、聴衆に「なるほどね」と感じてもらうことができます。
2. 「行動を促す」締めくくり
同じ話を、こんな風に締めくくることもできます:
「明日からでも、いつもと違う道を歩いてみませんか?ほんの少しの寄り道で、新しい発見があるかもしれません。私も今週末は、普段とは違うエリアを散策してみようと思います。」
具体的なアクションを提案することで、聞き手も「私もやってみよう」という気持ちになります。
3. 「みんなに当てはまる学び」で締めくくる
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スピーチの内容を、聴衆の誰もが「自分事」として受け取れるメッセージに変えましょう。
具体例:徒歩通勤の話の場合
まずは個人的な締めくくり:
「これからも、新しい道を歩いて、お気に入りの場所を見つけていきたいと思います」
⇒皆に当てはまるメッセージに:
「新しい一歩を踏み出すのは、ちょっと勇気がいりますよね。でも、その一歩が思いがけない発見につながるかもしれません。今日から、いつもと少し違う行動をしてみませんか?」
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このように、「私の体験」を「誰にでも使えるヒント」に変えることで、聞き手がより「自分ゴト」に感じ、共感しやすくなります。
避けたい締めくくり方と改善方法
❌ やめたいこと:
- 「以上です」「ご清聴ありがとうございました」で終わる
- 新しい話題を急に出す
- まとまりのない、ぼんやりした終わり方
⭕️ こうしよう:
- 話の内容と一貫性のある締めくくり
- 具体的で実践しやすい提案
- 印象に残るフレーズ
実践のコツ
- 最後の一文は、少しゆっくり、はっきりと
- 締めくくりは「聞き手へのプレゼント」と考える
- 体験から得た気づきを、共有できるヒントに
実践してみよう
今週の印象的な出来事を思い浮かべて、実際に締めくくりを作ってみましょう。
例えば「初めて作ったケーキが失敗した」という話なら、こんな風に:
1. 「物語を完結」バージョン
「あの日の失敗から3ヶ月。今では家族に『またケーキ作って!』とリクエストされるようになりました。失敗を恐れずチャレンジしたからこそ、得られた喜びだと思います」
2. 「行動を促す」バージョン
「皆さんも、新しいことを始める時は、完璧を目指さずまずは作ってみませんか?私も今週末は、新しいレシピに挑戦してみようと思います」
3. 「みんなの学びに」バージョン
「新しいことを始める時、誰でも失敗を恐れてしまいますよね。でも、その失敗が次の成功につながるんです。今日から、『失敗してもいいや』という気持ちで、チャレンジしてみませんか?」
日々あった出来事をストックしていこう
スピーチの上手な締めくくりは、練習を重ねることで必ず上達します。
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皆さんは日々感じたこと、自分の周りで起きた出来事をどのくらい憶えているでしょうか?1日1つでもそれらを記録して、結論まで考える練習をしてみると、スピーチの締めくくり方もグンとレベルアップしますよ。紙に書いても良いし、SNSに投稿しても良いと思います。写真と一緒だと、よりイメージが印象に残りますね!皆さんも日々の出来事を「なかったことにしない」で余すところなく、「スピーチのネタ」にしていきましょう!
次回は「緊張せずにスピーチする方法」についてご紹介します。
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