ストーリーテリングについて語るブログ

まさか私が?~骨折体験記@NY(その7)

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外に出られるって楽しい!

年末年始のお休みで夫が来てくれたことで、心の荷がスッと軽くなりました。

気兼ねなく買い物を頼んだり、車椅子を押してもらってランチやPTに出かけたり、ランドリーの移動をお願いしたり。「なるべく一人でできることは頑張らなくちゃ」と思い続けていた日々だったので、こうして気負わず頼れる存在がいることに、心からホッとしました。もちろん、家族だからといって気遣いがゼロになるわけではありません。でも、「気兼ねなくお願いできる」というのは、やはり家族ならではの安心感なのだと実感しました。

年末年始のニューヨークは極寒。外に出るのも一苦労でしたが、それでも夫に車椅子を押してもらいながら、いくつか思い出深い外出ができました。

🛶 ハドソン川沿いの景色を眺める
初めて車椅子でバスに乗り、お気に入りの場所へ夫を連れて行くことができました。ニューヨークのバスには前方に車椅子専用のエリアがあり、車椅子の乗客が乗る際は、座席を畳んでスペースを確保します。さらに、Uberなどと同じように車椅子を固定するストッパーも設置されており、乗車中も安心です。乗降口にはスロープがあり、ノンステップで乗ることが可能(一部階段のあるタイプもありますが、大半はノンステップ)。

年末のニューヨーク、川沿いはやはり冷たい風が吹き付けていましたが、広々とした景色を眺めることができ、とてもリフレッシュできました。長く引きこもっていたからこそ、久しぶりに外の空気を思い切り吸い込み、「来てよかった」としみじみ実感。ニューヨークに遊びに来た方には、ぜひご案内したい私のお気に入りの場所です!

NYで初詣
ニューヨーク市内にはお寺や神社がないため、初詣は諦めていました。でも、今年はなんと、日本人向けの新聞で期間限定の特設神社ができるとの情報を発見!しかも、場所は我が家から比較的近いエリア。

とはいえ、車椅子で入れるのか? という不安もありましたが、「行けるところまで行ってみよう」と思い切って出かけてみることに。

すると、なんとオーナーの方がわざわざ下まで降りてきて案内してくださるという親切な対応!この方はアメリカ人ですが、日本文化が大好きで、ご自身の所有するペントハウス(最上階)のスペースを和室に改装するほどのこだわりを持つ方でした。

さらに、そこには日本からお茶を広めに来たという先生がいて、その場でお抹茶を点ててくれるという贅沢な体験まで…!まさかニューヨークのど真ん中で、初詣をし、お抹茶までいただけるとは思ってもみませんでした。思いがけず心が落ち着く、至福の時間でした。思い切って行ってみて良かったな、と思いました。

🌆 ワンワールド展望台へ
9.11の跡地に建てられたワンワールド展望台へ。

ニューヨークには5大展望スポット(エンパイア・ステート・ビル、ロックフェラーセンター、エッジ、サミット、ワンワールド)があり、これまでいくつか訪れたことはありましたが、ワンワールドの展望台だけはまだ未体験。これまでは博物館やグラウンド・ゼロには足を運んでいたものの、高層階まで上がることはありませんでした。

そして今回、車椅子で展望台へ。高層階からNYを見下ろすという経験は、もしかすると人生で最初で最後かもしれないと思うと、感慨深いものがありました。

マンハッタンの街並み、ブルックリン、そしてニュージャージーまで見渡せるこの場所から外を眺めていると、まるで別世界にいるような感覚。ずっと部屋にこもりがちだった日々から、一転してこんな場所にいることが、なんだかとても不思議に感じられました。

いよいよ歩行許可!え、もう歩いていいの?

あっという間に年末年始が過ぎ、夫は帰国。再び一人での生活が始まりましたが、以前のような八方塞がりの気持ちではなく、少し出口が見えたような感覚がありました。気持ちも少しリフレッシュされ、次のステップへ進む準備ができているように感じました。

そして冬休み明け、術後6週間の診察。医師から告げられたのは驚きの言葉でした。

「もう荷重して歩いてもいい」
「ブーツもしばらくしたら不要」

「え、本当に?」
この日はOさんに車椅子を押してもらいながら病院に来たのに、帰りは歩いていいなんて…。頭では理解できても、気持ちが追いつかず、なんとも不思議な感覚でした。とはいえ、まだ怖かったので、そのまま車椅子で帰りましたが(笑)。

その日の午後、PTへ行き、新しい診断書を見せると「じゃあ、歩行練習をしましょう!」とすぐにリハビリ開始。

「え?私、もう歩けるの?」

恐る恐る一歩を踏み出してみると、6週間もの間、床につけなかった右足が、ちゃんと歩行の動きをしている…!もちろん、外を歩くときはまだ松葉杖が必要でしたが、家の中では杖なしで歩けるようになっていました。

6間前までは普通に歩いていたのに、その間、足を一切つかない生活を送り、そしてまた歩き始める。この不思議な感覚は、まるで歩き方をもう一度学び直しているようでした。

初歩行は「宇宙から帰還した状態」?

4週間前(術後2週間)には、足の包帯が外れ、医療用ブーツを履くようになっていました。ただし、それを脱げるのはお風呂の時だけで、寝るときも履くように言われていたので、「ブーツを脱いでいい」 という許可は、何とも言えない解放感がありました。

とはいえ、ブーツを脱いで素足やスリッパで歩くと、少し痛みがありました。「最初は痛くても、慣れれば大丈夫」 と思い、無理して歩こうとしたところ、以前アドバイスをくれた整形外科医のお父様を持つHさんが「今は宇宙から帰ってきたような状態。痛みをバロメーターにして、慎重に」と注意してくれました。

私の「つい無理してやり過ぎてしまう病」を発症せずに済んで、本当に良かったです(笑)。

PTでは毎回、セラピストが足をマッサージしてくれるのですが、ブーツを脱いだ自分の右足を見て、驚きました。「足首が…ない…?」足全体がむくんでおり、靴下の跡がくっきりと残ったまま。見た目も、自分の足とは思えないほどでした。でも、「歩けるようになったら、少しは変わるかもしれない」 そう思うと、ワクワクしました。

早く左右どちらの足を骨折したか分からないくらいになりますように。そう願いながら、今も毎晩お風呂上がりにマッサージを続けています。

普通の靴へ!

とはいえ、右足の浮腫みは依然としてしぶとく残っています。

医療用ブーツは術後1週間ほど外出時に使用していましたが、膝まで覆うブーツを毎回履くのは正直なところ面倒で負担が大きい。そこで、移行期間としてサンダルタイプの医療用シューズを通販で購入し、2週間ほど使っていました。

そしてついに、普通の靴を履けるように!
とはいえ、まだすべての靴が履けるわけではなく、限られたスニーカーのみ。それでも、医療用サンダルと普通の靴では歩いたときの感覚がまったく違いました。

医療用サンダルでは、足首が固定されているため、どうしてもカカシのように足をピーンと伸ばした歩き方になってしまいます。まるでぎこちなく足を運んでいるような感覚。それに対して、普通の靴では足首を自然に使うことができ、よりスムーズに歩ける。

普通の靴を履いた瞬間、「あ、これだ!」と実感。
久しぶりに”本来の歩き方”を取り戻した気がして、嬉しかったのを覚えています。

次回は、出勤再開や、その後の生活について 書こうと思います。

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この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

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