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まさか私が?~骨折体験記@NY(その3)

前回はERでの体験を書きました。今回は手術のことを書こうと思っていたのですが、手術前に購入した車椅子のことなどを書きます。

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車椅子購入!

その週の木曜日からはサンクスギビング(感謝祭)の休暇でした。この時は普段は寮にいる子どもたちが泊まりに来ていました。普段は娘だけ帰ってくることが多いのですが、この時は息子も帰ってきました。久しぶりに子供たちに会えるのも嬉しいのですが、なによりこんな状況なので、家族が来てくれることでホッとする気持ちでした。

そして、彼らが来る前に、私はまたもや日本にいる母の勧めで車椅子を購入していました。正直、最初は「1ヶ月かそこら使うかどうかなのに、車椅子なんて大げさじゃない?」と思っていました。「車椅子なんて大げさ?」でも買って正解でした!

だって、松葉杖だけでは不安定だし、ちょっと長く歩くだけで体力を消耗する。そして、家の中では便利でも、外にキャスター付きの椅子で出られるわけではないし…。

でも、「念のために」とネットで検索してみたら、想像していたよりも、だいぶリーズナブルだということがわかったのです。お値段150~200ドル(22,500~30,000円)くらい。長くは使わないものだと分かっているけれど、一人暮らしの状況で、1ヶ月でも生活のクオリティを上げられるものなら、試してみる価値がある。そう思い、すぐに注文していました。

そして、車椅子をどこで買ったのかというと―― Amazon。やはり、アメリカ生活の必須アイテム、Amazonの力は偉大 でした。

温かい交流

そして、子ども達が来る前日に届いたのですが、1Fに荷物を取りに行くと、大きな箱がデーンと置かれています。「これ、私持って上がれないし、作れるかな?」と怯んでいたら、すぐレセプションのおじさん(と言っても私と同世代くらいかな?)が「僕が組み立てましょうか?」と言ってくれたのです。「僕の母も車椅子を使っているから、知っているんです。」と言いながら、大きな箱を開けて、あれよあれよといううちに、車椅子が完成していました!

アパートには複数のレセプションの人がいますが、彼は午前中~15時ごろまでの担当の人。いつも朝、出勤する時に「Good Morning」を言うだけだったのだけれど、こんなに温かい、優しい人だったのだ、とわかり感激しました。本当にありがたい。そして、こんなやり取りだって、こんな怪我をしなければ、することはなかったと思うと怪我をしたことも意味があったのかな、と思えてきました。ㅤ

その他にも、日本在住で私のスピーチ講座を受講してくれているHさんが私の「骨折報告」を見て、連絡を取ってくれました。Hさんは自身も介護士をしている上に、お父様が整形外科医とのこと。お父様にも聞きながら、親身にアドバイスをしてくれたことが有難かったです。

この後も色々な人に助けてもらったり、親切を受けたりするのですが、これも怪我をしなければ体験できないことでした。

「段差」の洗礼

翌日、子どもたちが来ると、早速アパート内の各施設を車椅子で移動してみることにしました。一人では段差があると立ち往生してしまうかもしれませんが、誰かがいてくれれば安心です。これから行きそうな場所にちゃんと行けるか?」を事前に試しておきたかったのです。

そして、初めて車椅子でアパート内を移動できた時は、想像以上に嬉しかったです。特に、NYのアパートは室内に洗濯機が設置されていないところが多く、私のアパートもその一つ。洗濯のためにランドリールームまで移動しなければなりませんが、松葉杖ではどうしても無理だということが分かっていました。「車椅子があれば、手に洗濯かごを持って下まで行ける!」 と思ったことも、購入の大きな決め手でした。

とにかく、「自分で動ける」ということが、その時の私にとっての心の支え になっていました。部屋の中で外に出られず、「無力感」を感じる日々でしたが、アパートの中でも自力で動けること、誰かの手を煩わせずに洗濯に行けること、は大きな救いでした(とはいえ、結局多くの友人たちがランドリールームの行き来を手伝ってくれたのですが)。

でも、思わぬところにある「段差」が厄介でした。入口や各施設のドアの下のちょっとした段差が、車椅子では乗り越えられないのです。私の場合、片足なら立つことができたので、立ち上がって車輪を持ち上げ、乗り越えることができましたが、もし完全に足を使えない状態だったら、この小さな段差一つで動けなくなるんだなと痛感しました(前輪を持ちあげるという方法もあるのですが、バランスを崩したら、と怖くてできませんでした)。

これは、外に出るともっと深刻な問題です。マンハッタンの街は、実は小さな段差の連続。スロープやバリアフリー対応の場所もあるとはいえ、「行ける」と思っていた道が行き止まりになってしまうことも。車椅子は「自走式」とはいえ、私は一人で街に出る勇気は最後まで出ませんでした。

ちなみに、車椅子には大きく分けて2種類があります。

🔹 自走式(Self-Propelled Wheelchair)
→ 自分で車輪を押して移動するタイプ(私が購入したもの)

🔹 介助式(Transport Wheelchair)
→ 介助者が後ろから押して移動するタイプ

自走式なら「自分の力で動ける!」と思っていましたが、実際には街の段差や道の状態を考えると、一人での移動は簡単ではないことがわかりました。結局、外に出る時は、押してくれる人の存在が必要 だったのです。

「動線」を作る!

車椅子を導入してから、部屋の中を移動するのに思った以上に広いスペースが必要 になりました。
これまで気にならなかった家具や荷物が、急に「障害物」に感じられるように…。そこで、息子に頼んで大きくてかさばるものをなるべく端に移動 してもらいました。

「車椅子がターンできるスペース」を確保し、「床に余計なものを置かない」――
これは、将来シニア世代になってからも大切なポイントだなと実感。とにかく「動線命」。邪魔なものを片付けていくと、部屋がスッキリして動きやすくなりました。

…とはいえ、子どもたちがスーツケースを広げると、「あれ?さっき作った動線はどこに?」 という状態になるのですが(笑)。

そして、私の「天敵」となってしまったストレッチポール も、棚の最上段へと追いやられました。「そのうち下におろそうかな…」と思いながらも、いまだにそこに鎮座したまま。さらに、玄関近くに置いていた自転車も、「当分使わないでしょ?」ということで部屋の隅へ。(※ちなみに、マンハッタンのアパートには基本的に駐輪場というものがありません…💦)暖かくなるころには、また自転車に乗れますように!

次回、「手術編」 へ続きます。

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この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

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