ストーリーテリングについて語るブログ

共感と応援を生むストーリー:4つの秘訣

何か商品やサービスを紹介したり、販売したい時、ストーリーが有効だということはこれまでもお伝えしてきましたが、今日はボランティア、クラウドファンディング、チャリティ―などの場でのストーリーについてお話ししたいと思います。

以前、ゴールデンサークル理論について書きましたが、人の習性として、商品・サービスを前面に出されると、「売られる」「宣伝されている」と感じて、身構え、心を閉ざします。これは販売以外の場合でも同じです。たとえそれがボランティアやチャリティの場であっても、「支援をして下さい」ということを先に訴えるのではなく、あなたが「なぜそれをやっているのか」という思いを伝えることが一番大切です。そして、あなただけのストーリーで語ると、共感し、応援してくれる人が生まれます。

世界的に大人気のアイドルグループBTS(現在はグループ活動休止中ですが)をご存知でしょうか?彼らの所属事務所はデビュー当時、韓国ではあまり大きいプロダクションではありませんでした(現在は押しも押されぬトップ企業として君臨していますが)。でも、デビュー当時から彼らは自分たちの活動やストーリーをSNSを通じて発信し続けてきました。

デビュー当時は知名度もなく、世間の多くは「すぐ消えるグループ」というような評価でしたが、段々とその才能や活動が評価されると共に、こうした努力をし続ける姿に共感し、応援するファンの数も増え続けていきました。ファンは彼らのストーリーに引き込まれ、心から応援したくなるのです。

ボランティア、クラウドファンディング、チャリティも同じです。成功するプロジェクトには必ずと言っていいほど、背景に心に響くストーリーがあります。たとえば、「子供たちに学びの場を」というプロジェクト。その背後には、教育を受けられない子供たちのリアルな姿やそれに対する支援者の「思い」を発信しています。そのストーリーに共感し、多くの人が手を差し伸べるのです。

共感を呼ぶ4つのポイント

では、具体的にこうした共感・応援を呼ぶストーリーとはどんな書き方をしたら良いのでしょうか。以下4つのポイントをご紹介します。

1.リアルな人物像を出す: ストーリーには、共感を生む「人物」が必要です。その人が何に困っているのか、何を望んでいるのかをしっかり描きましょう。例えば、上記チャリティの例でいうと、「子供たち」、そして、それを支援したいという「あなた」自身です。あなたがどういう経緯で支援をしたいと思ったか、を伝えます。

2.感情を揺さぶる出来事: 人は感情で動きます。だから、ストーリーには心を揺さぶる瞬間が必要。その瞬間が人々の心に火をつけるのです。上記の例でいうと、子供たちが「貧困に苦しみ、働かざるを得ない(=学校に通うことができない)状態」でしょうか。

3.解決策(具体的行動)を示す: 人は「答え」を求めます。ストーリーでその答えを出すと、人々はそのストーリーに共感し、力を注ぎたくなります。誰かの「コーヒー〇杯代」が子ども達の教科書代になるなど、具体的な数字がわかるとよりイメージがしやすいです。

4.応援するメリットを示す:これは言わずもがなですが、その人を応援することで、何か得られるものがあると、人は納得がしやすいです。例えば、チャリティへの参加者が参加できるイベントや実際に得られるものなど。また、これとは別にその人が普段から、人を応援する姿勢を示していれば、自然と「今度は自分がこの人を応援してあげよう」という気持ちになるものです(逆に「受け取るだけ」では人は応援してくれません)。

必要な人に届けるには?

では、応援や共感を生むストーリー作りについて、具体的な事例をもとに考えていきましょう。

今回はこども食堂の主宰者、Iさんの事例をご紹介します。神戸在住のIさんは個人でこども食堂を主宰しており、月に1回ボランティアの人たちと一緒に地域の公民館で30人くらいの子供たちにカレーを提供しています。

Iさんはご両親のお仕事の関係で子供時代、夕食を一人で食べることが多かったのですが、結婚してから「ご飯はみんなで楽しく食べるとおいしい」ということを知ったそうです(実際にIさんは料理の紹介も兼ねて、旦那様との日々の夕食風景をSNSに発信していますが、本当に美味しそうに食事を召し上がられています)。このことをかつての自分と同じように、一人で食事をするお子さん達にもその楽しい時間を経験してもらいたい、という思いで子ども食堂を運営しています。

Iさんは今、子供たちに月1回食事の場を提供し、彼らの笑顔を見ることが心の癒しになっています。そして、この食堂が子供たちの安心できる居場所になって欲しいと願っています。そして、もっと多くの必要としている子どもたち、親御さんにも来て欲しいと願っています。

本当はもっと多く開催をしたいのですが、現状はマンパワーも資金も不足しています。また、食材も一部寄付を受けていますが、あればあるほど有難いのも事実です。そのためには、この活動がもっと多くの人に知られ、手を差し伸べてくれる人が増える必要があります。だから、ボランティアやスポンサーを募集していきたいのですが、何をどうど発信して良いのか、まだアイディアがあまりありません。

これらを受け、彼女の活動や思いを伝え、必要な人達に届くストーリーを作成してみたいと思います。では、実際にどのようなストーリーを作っていけば良いのでしょうか?具体的なストーリーの作り方については、次回以降、ご紹介していきます。

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この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

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