これまでに3回「伝わる!スピーチを作成する」
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スピーチを聞いていて時々感じるのが、話が「抽象的」になってしまうことです。話し手にとっては当たり前に感じることでも、聞き手には「?」と感じられることがあります。せっかく良いことを伝えようとしても、相手に具体的なイメージを抱いてもらえなければ、そのメッセージの効果は半減してしまいます。今日は少しでも「相手に伝わりやすい」スピーチのコツについてお伝えします。
具体的な場所、物、行動を入れる
例えば、「自分が本当に望んでいるものが物質的なものではなく、何気ない日常だとわかった」と伝えたい場合、「がむしゃらに働いてお金や名誉を手に入れたけれど、心の中が空っぽで、何かが足りないと感じた。ふと気づけば、家族と一緒に食卓を囲んで、焼き芋を分け合うような何気ない瞬間こそが、本当に幸せだと思えるようになった」といった表現に変えられます。このように具体的な食卓の情景や「焼き芋」といった季節の食べ物を入れると、聞き手は具体的なイメージが浮かび、その時の温かい状況を感じ取ることができるのです。
また、「今までは周りの言動に一喜一憂してきたが、幸せは自分で作り出せることがわかった」と伝える際には、「周りのちょっとした言葉で気持ちが左右され、イヤなことを言われたらすぐに不機嫌になってしまっていた。でも、学ぶ中で、感情をコントロールする選択肢があることに気づいた。今では、嫌なことがあっても一度深呼吸をして、その場を流すように心がけている。そうすると、怒りやイライラが徐々に消えていくのを感じる」といった具合に、具体的な行動や変化を伝えることで、聞き手も共感しやすくなります。
感情や五感も描写する
感情の表現についても同様です。例えば「涙が出るほど悔しかった」という気持ちを、「悔しさで胸が締め付けられ、その時手に持っていたペンを握りしめたまま、力を込め過ぎて折れてしまった」と描写すると、「ペンが折れるほど悔しかったのか!」とイメージでき、より強い感情が伝わります。
寂しさを伝える場合は、「毎週日曜の夕方、サザエさんのオープニングが流れ出し、単身赴任中の父がまた帰ってしまうと思うと、胸がズドーンと重く沈み込んだ」といった、具体的なシーンを描くと聞き手もその瞬間を感じることができます(「サザエさん」ネタは老若男女問わず、日本人ならその時間帯の心境が伝わりそうですね!)。
嬉しさを表現するならば、「試験に合格したとわかった瞬間、これまで歩いてきた駅から家までの道が、まるで朝日に照らされたようにキラキラと輝いて見えた」といった視覚的な描写や、「ふわっと香る金木犀の香りがすると、あの秋の運動会の練習を思い出して、懐かしい気持ちになった」というように嗅覚を使った表現も効果的です。
さらに、味覚も感情を表現するツールとなります。「かぼちゃの煮つけを食べる度に、母の優しさが蘇ってくる」といったその人独自の味覚の記憶は、聞き手に温かい感情を感じてもらうことができます。
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このように、スピーチの中で感情や五感を描写することにより、聞き手の中で「文字⇒映像」に変換し、ぐっと伝わりやすくなります。スピーチでは映像がなく、言葉だけが頼りです。そのため、聞き手が具体的なイメージを描けるように、日常の風景や感覚を取り入れることが重要です。何かを伝える際に「具体例を入れるなら、どんなシーンがあるかな?」「何かに例えるなら何がいいだろう?」と考える習慣を身につけてみてください。そうすることで、伝わる確率が大きくアップするはずです!
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私のスピーチを練習するコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」ではスピーチ作りを一から学び、数ヶ月かけて自分自身の最強のスピーチを作り上げていく場を提供しています。次回(第2期)は10月20日~のスタートを予定しています(詳細は今後発表予定)。
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