以前、「コネクティング・ザ・ドッツ」について書きました。過去に経験したこと、好きだったことなどの「点」が思わぬ瞬間に「線」として繋がるという話です。
今日は「子どもの時に好きだったこと」について考えてみました。よく、「自分が本当にやりたいこと」を考える時に、「昔好きだったこと」を思い出してみる、というワークを見ることが多いからです。
私の場合、以前「書くこと」についての思い出について触れました。その時に子供時代日記を書いていたこと、中学時代に作文を褒められた記憶が今でも自分の中に残り続けていること、について書きました。そして、長い年月を経て、この2年ほど前にニューヨークに来てから、再び書くことに目覚めたのですが、その時に改めて「ずっと忘れていた過去の経験」を色々と思い出していたのでした。
実はもう一つあるのですが、それは意外にも「話すこと」でした。
それは小学校時代に遡ります。当時私は、ラジオで音楽番組を聞くことが好きでした。その時は「ベストテン」のような音楽番組全盛期で、ラジオから流れる、ラジオ・パーソナリティたちの個性に溢れ、それでいて淀みない語り口調に憧れを抱いていました。そして、それを真似して、家にあるラジカセに向かって録音をしたりしていたのです。
当時は「カセットテープ」の時代でしたので、我が家には音楽のテープに混じり、私の「DJ番組」のカセットテープがいくつもありました。何度も「上書き」するので、テープの音質が悪くなることもしばしばでした。
学校でも「放送委員会」に入り、当番の時間、朝や給食の時間に音楽を流しながら、アナウンスをしたり、放課後、友達とマイクで遊んだりするのが楽しみでした。中には、誤って遊びでしゃべった音声が全校に流れてしまった、なんてこともありました。
その後、「話すこと」への興味は他に移ってしまったのですが、そこから40年近い年月が経ち、とあるきっかけから「音声型SNS(Clubhouse)」で米国事情を紹介するRoom(番組)を企画し、そこでモデレーター(司会・進行役)をやることになりました。
テレビやラジオではないですが、不特定多数の知らない人たちが聞いている、と思うととても緊張したのを憶えています。そこから半年ほど、不定期に番組をやりましたが、番組のタイトル、構成を考えたり、時間振りをしながら、自分たちの「世界観」を作るのはとても楽しい時間でした。そして、何よりも緊張するはずの「話すこと」がとても楽しかったのです!
その時に思い出したのが、上述の小学校時代の思い出でした。もうほとんど忘れかけていた思い出でしたが、スマホの前で話しながら蘇ってきたのは、当時ラジカセのマイクの前で何も考えず、楽しんで話していた、小学生の私の姿でした。
その後、話すことがもう少し上手になりたくて、やはりClubhouseのご縁から思い切って、「ボイストレーニング」を学んだりもしました。こちらはなかなか難しかったですが、話すには「身体の力を上手に抜くこと」がいかに大事か、ということを学びました。自分の特性として、身体に力が入りやすいこと、それゆえに呼吸が浅くなっていることも知り、普段気を付けるきっかけになりました。
そして、今私は「ストーリーテリング」について学んでいます。
そこで受けた講座は「夢を叶える話し方」という、ストーリーテリングを使い、人の心に伝わる話し方を学ぶ講座だったのですが、もともとは「話す」というより、人の心を動かすような、ハートの伝わる「文章」を書きたい、そういう思いで始めました。
でも、実際に人前で話をしながら練習するうちに、「書くこと」と同時に「話すこと」でも思いを伝えることができたら良いな、と思うようになりました。同じ話をするのでも、人の心に響く、届く話し方ができたら、もっと人生に広がりが出ると思ったのです。また、それを自分の子供たちや、多くの人に伝えることができたら、もっと素晴らしいと。そんなこともあり、今後も継続して学び、講師もできるレベルまで挑戦することを決めました。
このように、私たちは過去の経験や好きなことなどの「点」が、思わぬ瞬間に「線」として繋がることがあります。私の場合、もう忘れかけていた、小学校時代にラジカセに向かっておしゃべりをしていた経験がその一つでした。
その経験が、40年の年月を経て、「Clubhouse」でのモデレーターの経験や「ストーリーテリング」の学びと結びつきました。こんな風に、過去の経験は未来をつなぐ大切なヒントとなり得ます。皆さんにも「昔好きだったこと」があると思います。そんな過去の「点」が現在や未来に繋がる「線」になっているものはありませんか?
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