ストーリーテリングについて語るブログ

ストーリー作りのハードルを下げよう~ChatGPT活用のススメ

ストーリーは人の心に訴えるパワーがあります。それは(1)心を動かし、(2)行動を促し、(3)記憶に残るからです。とは言え「ストーリー作り自体がハードル高い」と感じている人も多いでしょう。そこで今日は、ChatGPTを使って簡単にストーリーを作る方法をお伝えします。

ChatGPTに入れるべきこと

①プロンプト、テンプレートの情報を入れる

ストーリーには、まず基本のテンプレートがあります。今日は「日常-解決する出来事―新たな日常」のテンプレートをご紹介します。
日常:以前の姿(~出来事が起きるまで)
出来事:新たな出来事、葛藤
新たな日常:現在の姿

従来は(といっても私がストーリーテリングを学び始めた2023年の年明けくらいは)このテンプレートに文章を入れてストーリーを作っていました。このテンプレートに必要なポイントを入れていくだけでも「ある程度」の流れは作ることができます。

でも、今は、さらにChatGPTがあります。
このテンプレートにChatGPTを掛け合わせ、さらに気軽にストーリーを作ることができるようになったのです。

では、具体的にストーリーを作りながら手順をご説明しますね。
今回は牧場経営者を主人公にしたお話です。
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例1)ChatGPT×「日常―出来事―新たな日常」のプロンプト
あなたは心に響くストーリーを語るストーリーテラーです。
以下のコンテンツで500字以内のストーリーを作って下さい。

主人公:牧場の経営者
目的:牧場の経営者のストーリーを語り、牧場に興味を持ってもらう。
対象:同牧場の潜在顧客
形式:ストーリー形式(3つに分けずに一連の文章として)
※文面が固くなりすぎないように注意してください。
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では、ここから先はンプレートの内容を入れます。
<テンプレート>
日常:新卒で大手コンサルタント会社に勤務。プロジェクト中は家にも帰れないような忙しい日々を送る。
出来事:20代後半のある時、親類の事業再建を手伝うことになり、退社。その後、地元(富士五湖)の宿泊施設再生に着手。6棟の貸別荘を手作りで再生する。その後、現地で牧場経営に興味を持ち、小さな牧場を起こす。東京育ち、動物も飼ったことがない、という状況だったが、何年もかけて先輩の牧場や飼育者と交流をし、少しずつ地元のネットワークを広げていく。
新たな日常:現在育てている羊は300頭以上に。羊肉の販売も行い、「日本一の羊飼い」を目指す。
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②ChatGPTのストーリーを見て、修正を加える

以下がChatGPT(GPT4.0)で出てきた内容です。
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新卒で大手コンサルタント会社に入社した私は、毎日のように夜遅くまで働いていました。東京の明かりが眩しいオフィスから見る景色は、無数のビルと車のライト。あの頃の私にとって、家に帰る時間さえ贅沢な日々だった。

ある日、突然の出来事が私の人生の舵を大きく変えました。親類の事業再建の依頼を受け、私は胸を決して東京を後にした。その後の私は、美しい富士五湖の地で宿泊施設の再生に着手し、6棟の貸別荘を手作りで再生させました。朝目を覚ますと、目の前には富士山の絶景と五湖の美しい風景が広がっていました。

そんなある日、貸別荘を再生する際に隣接する土地にふと目を向けると、羊がのんびりと草を食んでいる姿が目に飛び込んできました。それをきっかけに、私は牧場経営に興味を抱くことに。東京育ちで動物を飼った経験もない私ですが、心の中で何かが騒ぎ始めました。

自分でも驚くほどの決意で、隣接する土地に小さな牧場を立ち上げました。最初は手探りでした。たくさんの失敗や試行錯誤を繰り返しましたが、先輩の牧場主や地元の飼育者たちとの交流を重ねる中で、私は少しずつ牧場経営のノウハウを学び、地元でのネットワークも広げていきました。

時間は流れ、牧場を立ち上げてから早15年。今では私の牧場には300頭以上の羊がのんびりと暮らしています。自らの手で育てた羊たちから取れる羊肉も販売し、「日本一の羊飼い」を目指す私の日々は、かつてのビルの谷間での日々とはまるで違うものになりました。

この地、富士五湖での牧場生活は私の新たな情熱となりました。都会の喧騒から離れ、自然と羊たちとの時間を過ごす。あなたも、私の牧場の魅力を体験してみませんか?
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どうでしょうか?少ない情報ながらも、これだけでかなり話の枠組みができているのが分かると思います。ゼロから書き起こすことを考えると、この段階まで仕上げてくれるのは驚異的に便利です!

ただし、ChatGPTで出てきたストーリーは一見うまくまとまってはいますが、少し繰り返しが多かったり、必ずしも事実でないことが入っていたり(富士五湖で何もないところで「羊が草を食んでいる」ということはありません)、具体的なエピソードが不足している場合があります。ここにあなたや社員の方の「感情」を吹き込んで「生きたストーリー」にしていきましょう。

例えば、付け加えるべき点は具体的に苦労した点、それをどうやって乗り越えたか、という点です。それから、映像が目に浮かぶような「場の描写」も有効です。

<追加ポイント>
・社会人時代とのギャップ。
・自分たちで重機を使いながら、手作りで牧場を作ったこと
・初めて動物を入れた時の体験、失敗談。
・羊を300頭に増やすまでのいきさつ。なぜ羊肉を扱うことになったのか。
・「日本一の羊飼い」を目指すためにやっていること。

このような具体的なエピソード、特に苦労した話や失敗談があると、ストーリーが人の記憶に残ります。「日常-出来事-新たな日常」と、「山-谷-山」のように、それぞれの「落差」を意識してみてください。

修正方法はChatGPT上で再度やり取り(壁打ち)するのでも、自分で手を入れるのでもどちらでも良いです(最終形を再度入れてチェックしてもらうと良い)。ChatGPTに「魔法のプロンプト」はありません。

最初から「100点満点」の完璧なプロンプトを目指さなくても、「70点」のレベルで仕上がったものを何度かChatGPTに壁打ちしていくうちに、理想に近い形に修正してくれます(特にGPT4.0はそこまでのやり取りの「文脈」を読み取り、これまで入れた情報を前提に回答を出してくれますから、より「あなたの求める形」に近くなっていきます)。

まとめ

ストーリー作りは難しく感じるかもしれませんが、ChatGPTを使えば誰でも簡単にストーリーが作れます。以下、ChatGPTでストーリーを作る上でのまとめです。

・テンプレートで4割、ChatGPTで3割、合わせて「7割」のストーリーができる。「100点満点」ではないけれど、7割のところからスタートできたらその後の所要時間が全然違う。

・ChatGPTはあなたの「身代わり」としてストーリーを作ってくれる人ではなく、「たたき台」を出してくれる「優秀な秘書」的存在として捉える(この秘書は何度「ダメ出し」、「無茶ブリ」しても答えてくれます!)。秘書の「たたき台」にあなた自身のエピソードを入れて、「生きた」ストーリーを仕上げる。

・「生きた」ストーリーにするために
「初めての〇〇、失敗、苦悩~転機となったこと」などを入れる。これが共感ポイント(=他との差別化)。例えば「(数ある類似店の中で)コーヒーを買うならこのお店」というポイント。その他感情、会話(印象的なセリフ)、ディティール(例えば牧場に初めてお客さん第一号が来てくれた光景など)をつけ足していく。

・ChatGPTに「魔法のプロンプト」はない。「そこそこ」のものができたら、後は何度も壁打ち、マニュアル修正していこう。実はChatGPTのメリットが最大限生かせるのはこの「壁打ち」。何度もやり取りをすると、「文脈を読み取って」より良い答えを出してくれる。

いかがでしょうか?今回ご説明したChatGPTの活用により、皆さんのストーリーを作るハードルがグっと下がると思います。是非、皆さんがビジネスで扱われている商品・サービスがあれば、明日からちょっと伝え方を変えてみて下さいね。きっと、今までにない効果があるのではないかと思います!

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この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

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