ストーリーテリングについて語るブログ

ロングもショートも自在!心を動かすストーリーテリングの極意

これまでストーリーテリングにおける、ストーリーの書き方について書いてきました。ストーリーは「ワンメッセージ」を伝えるために長いものから短いものまで色々なパターンがあります。

時代はショート?

「ロングストーリー」は主に講演や誰からに頼まれて話をする時、時間を取って話をするイメージですね。例えばセミナー、講演会、製品発表の場など。その時はじっくり、なぜこれをやっているのか、それまで自分はどんな経験をしてきたのか、そこからの学びは何か、などを入れながら話します。時間にすると最低10分、内容によっては数十分くらいを要します。

でも、私たちは日常、そこまで長い「尺」を持っているわけではありません。普段何気ない会話の中で3分、いや1,2分でポイントを伝える必要があります。現代人は皆忙しいのです。動画のニーズが高まっていたり、文章も昔ほど長いものが読まれなくなっていることを考えても、私たちは以前より「短い時間で」思いを伝えなくてはいけないのです。

そんな場面で必要なのが「ショートストーリー」を話す力です。いかに短い時間で、自分の思いを伝えることができるか、そしてそれが人の心を動かすことができるか、それがポイントです。

同じストーリーもこうやって使い分ける

ではどうやって、同じ話をショートとロングで使い分けるのか?色々なパターンがありますが、たとえばあなたが商品として、アクセサリーを扱っているとします。

お店にふらっと入って来られ、ある商品を眺めていたお客様に対して、「この宝石は『自分を信じる』というパワーストーンが使われています。これはヒマラヤ山脈で採掘してきたとても希少なものなんです。製作者はもともとエンジニアをしていたのですが、ある時山に魅せられて~」というように語ると、お客様は「え、そんなエピソードがあるんだ!」と前のめりになって、このアクセサリーに興味を持ってくれるかもしれません。

でも、余程のことがない限り、これを延々と10分も話していたら、お客様は「引いて」しまいます。せいぜい3分程度でしょうか?このくらいの時間でサッと語る必要があります。

一方で、お店の取材やインタビューを受けるような場であれば、「あなたがなぜパワーストーンのアクセサリーを扱っているのか。」「そのアクセサリーたちに対する思いは。」「その石を誰がどんな風に採掘してきたのか。」などについて、より時間をかけて、深いところまで伝えた方が、納得感のある記事を書いてもらうことができますよね。

このように一つのストーリーでも、その目的(どういうシチュエーションで、誰に向けて話をしているのか?)により、その長さや内容を変えることができますし、特に忙しい現代ではTPOに応じてフレキシブルに対応することが求められています。

ただし、ストーリーを語る上で「根幹」の部分は一緒です。「なぜ、それをやっているのか(特にビジネスなどの場で)」や「ワンメッセージ」は相手が変わっても、変わることはありません。今どいういう場で、どのくらいの時間があるのか、相手は誰か?によって、あなたのストーリーを的確に伝える練習をしてみてください。

「ショートストーリー」は「空中戦」

このように、ストーリーはTPOに応じて長さを変えることが必要ですが、中でも「ショートストーリー」は、「いかに短い時間でとっさに言いたいことを伝えるか」が重要です。さながらショートストーリーは「空中戦」。どんな簡単な内容でも、「これをストーリーで伝えるとどうなるか」を考え、変換してみると楽しいかもしれません。

例えばあなたが部下にもう一つ追加で書類を用意して欲しいけど、既にたくさん頼んでおり、言いにくい、という時。「この資料もあなたの担当だから作ってね」とストレートに言うこともできます。でも、正直これを聞いた部下は「わかってはいるけど、なんでまた私?」とモヤモヤするかもしれません。

これに対し、「今週はすごく忙しくて、色々疲れたよね。本当によくやってくれて、ありがとう。でも、今回はあともう一つ、この資料も作らないといけないんだ。私が自分でやってしまうことも考えたのだけど、これをやることでAさんがもっとこの仕事の理解が深まると思うんだよね。これができると、次同じようなことがあった時も対応ができるはずなの。わからないことがあればいつでもサポートするので、やってもらえる?」

こんな風に言われたら、部下も「わかりました」と納得してやってくれるのではないでしょうか?少なくとも、「これあなたの仕事だからやってね」と言われた時と、心の動き方が違うと思います。

または、あなたが今日は疲れていて、夕食を作る気分ではない、という日。ストレートに「今日は疲れたから作りたくない」と言うこともできます。でも、こんな風に言ってみたらどうでしょう。

「今週はすごく忙しくて、色々疲れてしまったの。だから今日もこれから夕食を作らなくちゃな、と思ったのだけど、疲れて不機嫌な私のまま料理をすると、自分が楽しくないんだよね。家族のみんなにも私のイライラが伝わってしまうのは申し訳ないな、と思うし。どうしたらいいと思う?」

「じゃあお母さん、今日は僕が何か作るよ!」とか、「じゃあ、私が何か買ってくるわ!」となるかもしれません。あるいは、外食に行く、という選択肢も?

両者のポイントは自分の正直な気持ち(今回の2つの例の場合、自分でやることもできるけど、そうしない理由)を開示し、その理由を説明するところです。そうすると、聞き手は「そんな風に思っているんだ。じゃあ、助けてあげようかな。」と気持ちが動きます。逆に「あなたがこれをやって。」とか「今日は作りたくないの。」とだけ言われても、反発の感情が湧くだけかもしれません。

ロングからショートまで、ストーリーは自在に長さを変えることができます。そして、「ショートストーリー」は「空中戦」です!あなたも誰かに何かを伝えたいとき、どんな風に伝えればより相手に納得してもらえるか、心を動かすことができるか、そのことを意識してみてください。あなたの話をスッと聞いてくれる人、納得してくれる人が増えること請け合いです!

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この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

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