ストーリーテリングについて語るブログ

ビジネスの勝者になる!5つのストーリー戦略

ビジネスの場で「ストーリーが使えるかどうか」、はビジネスの成功を大きく左右します。でも、「世の中には一体どんなストーリーがあって、どうやって使うのか」は意外に知られていないようです。

今日はそんなあなたに具体例を交えながら、いくつかの特徴的なストーリーとその効果について、説明しますね。そして、後半は「ストーリーを使うとどんなことが起きるのか」についても、お話しします。

ビジネスで主要な5つのストーリーとは?

1.バリューストーリー:商品やサービスの価値を伝える

特徴:バリューストーリーは、商品やサービスが提供する「価値」を中心に構築されるストーリーです。その商品・サービスがどうやって作られたのか、その何が新しく、何が違うのか、そしてそれがなぜ重要なのかを明確にします。

使用例:Appleは「Think Different(違うことを考えよう)」というバリューストーリーで、独自性と革新を強調しています。同社のストーリーは、製品だけでなく、企業文化や広告にも反映されています。特に、2005年のスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学での卒業式スピーチでは、このバリューを体現しています。このスピーチはYouTubeで公開され、数百万回以上の再生を記録しています。

このように、バリューストーリーは顧客向けのほか、新製品の発表やマーケティングキャンペーンなどの場で効果的です。

2.ファウンダーストーリー:会社の起源とビジョンを伝える

特徴: ファウンダー(創業者)ストーリーは、会社やブランドがどのようにして生まれたのか、その始まりとビジョンを伝えるストーリーです。

使用例: ユニクロの創業者、柳井正氏は、一度は倒産の危機に瀕したものの、その後「良い服を安く提供する」というビジョンのもと、世界中で商品を展開しています。このストーリーは、ユニクロがどれだけ顧客のことを考えているかを象徴しています。柳井氏自らがTVやインタビューでこのストーリーを語ることで、多くの人がユニクロというブランドに共感しています。

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ファウンダーストーリーは、顧客のほか、投資家に対するプレゼンテーションや採用活動などの場で、特に有効です。また、社員向けに一体感をもたらす効果もあります。

3.パーパスストーリー:企業・商品の実現したい理想、存在意義を伝える

特徴: パーパスストーリーは、会社や商品が存在する「目的」や「使命」を伝えるストーリーです。

使用例:トヨタは「地球環境を守る」というパーパスストーリーを伝えています。このストーリーはハイブリッド車や燃料電池車の開発に力を入れることで、具体的な形になっています。トヨタはこのストーリーをCM等の広告や社内研修、さらには公式ウェブサイトで強調していますが、特に、環境に優しい車を開発する背景や目的を、公式ウェブサイトの「サステナビリティ」セクションで詳しく説明しています。

パーパスストーリーは社員向けや採用活動にも有効です。また、企業のCSR活動(企業が社会的責任を果たすための活動)やサステナビリティ報告(企業が自らの社会的、環境的、経済的な活動とその影響について、公開する文書)などでもよく使われます。

4.カスタマーストーリー:顧客の声

特徴: カスタマーストーリーは、実際の顧客が商品やサービスをどのように使っているのかを伝えるストーリーです。

使用例:Airbnbは「旅を通じて人々をつなぐ」というカスタマーストーリーを展開しています。このストーリーは、Airbnbのウェブサイトやアプリ内で「ホストの物語」や「旅行者の体験」などとして具体的に語られています。始まりは、ある家族がAirbnbを通じて訪れた田舎の家での素晴らしい体験をInstagramでシェアしたことでした。それがAirbnb公式アカウントにシェアされ、多くの人々にそのカスタマーストーリーが広まりました。今では人々はこのカスタマーストーリーを見て、「泊まりたい宿」を選んでいます。

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カスタマーストーリーは最も顧客に近いストーリーとして、新たな顧客の獲得に役立ちます。そのため、できる限り実際のお客様の「生の声」を集め、ストーリーにすると良いでしょう。

5.サクセスストーリー:社員の成功体験のシェア

特徴:サクセスストーリーは、社員やチームがどのように成長し、目標を達成したのかを伝えるストーリーです。

使用例:例えば、Googleは「イノベーションを通じて世界を変える」というサクセスストーリーを展開しています。このストーリーは、Googleの内部報告やプレゼンテーションで「プロジェクトの成功例」や「社員のキャリア成長」などとして具体的に語られています。同社は社内ニュースレターやブログで社員のサクセスストーリーを積極的にシェアしています。

始まりは、あるエンジニアがGoogleの支援を受けて開発した新しい検索アルゴリズムが大成功を収めたことでした。それがGoogleの公式ブログによって取り上げられ、多くの人々にそのサクセスストーリーが広まりました。

サクセスストーリーは社内でのナレッジ共有にも役立ちますが、このストーリーをウェブサイトに掲載することで、「この会社で働きたい」という人にも訴える力があります。

良いストーリーを作るためには

このように、一口にビジネスといっても、使うストーリーによって効果は大きく変わります。目的やターゲットに応じて、最適なストーリーを選びましょう。

良いストーリーを作るためには、企業・商品・サービスの特徴をよく知り、その良さや独自性を理解することが基本です。その上で、実際にそれにかかわる人々(経営者、社員、お客様)の声を集め、ストーリーに反映させることで、それぞれのストーリーがよりリアルなものになります。

以上、今回はビジネスで使える「ストーリーとその種類」についてお伝えしました。皆さんも、自分のビジネスに相性の良いストーリーについて、考えてみて下さいね。次回は「なぜビジネスでストーリを伝えるのが良いのか」について、具体例を交えて書きたいと思います。

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この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

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