ストーリーテリングについて語るブログ

まさか私が?~骨折体験記@NY(その11)

前回は骨折をしてから回復までの道のりを振り返るべく、術後6週間ごとの変化をまとめ、リハビリの進み具合や生活の適応について振り返りました。今回は骨折を経験して感じた、自身の心の変化などについて書きたいと思います。

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後悔と決意と

骨折してからの最初の数日間は、「どうしてこんなことになったんだろう」「あの時、こうしていれば…」という後悔ばかりが頭を巡っていました。

夜ベッドの中で「あの朝」の出来事を思い返すたびに胸が苦しくなり、海外で一人暮らしのタイミングでの怪我に、「これからどうやって生活していけばいいの?」と途方に暮れていました。

でも、医師の診察を受け、幸いにもすぐに手術が決まり、「回復に向けて頑張ろう!」という気持ちにシフト。
「足はトレーニングを頑張れば治る。だったら、1日でも早く回復するためにできることをやろう!」と、リハビリを前向きに取り組むようになりました。

とはいえ、そんな気持ちとは裏腹に、心の傷はなかなか癒えませんでした。
骨折したのは足。それなら、家にいる間に発信を頑張ろう!と思っていたのに、まったく気持ちが追いつかず…。SNSでも「骨折しました」と投稿したきり、1ヶ月半ほど発信が止まってしまいました。

「時間はあるのに、どうして何もできないんだろう」と自分を責めることもありましたが、今振り返ると、やはり 「心と体はつながっている」 のだと実感しました。そういう時間も、必要だったのかもしれません。

できることが増えると、気持ちも変わる

術後6週間、医師から歩行の許可が下りたときのこと。この瞬間は、今でもはっきりと覚えています。

7週間ぶりに足を地面につけたとき、怖さはありましたが、それ以上に「自由を取り戻した」感覚が強かったのです。「(いつも片足をどこかに置いたり、宙に浮かせている必要があったので)もう転倒の心配をしなくてもいいんだ」 と思うだけで、気持ちがふっと軽くなりました。

そこから、

  • バスや地下鉄を使えるようになった日
  • 松葉杖なしで歩けるようになった日
  • 初めて1日の歩数が1万歩を超えた日

ひとつひとつの「できること」が増えていくたびに、自信が戻ってくるのを感じました。

逆に言えば、「できないことが続くと、人は自信をなくす」 のかもしれません。
だからこそ、「小さな成功体験を積み重ねること」が、どれほど大事なことかを実感しました。の適応力

「当たり前」が当たり前でなくなるとき

骨折をするまでは、通勤で片道20ブロック歩くことも、気軽に遠回りして寄り道したり、カフェに立ち寄ることも、ごく普通のことでした。でも、足を使えなくなった途端、その「当たり前」がすべて失われ、何をするにも不自由な生活に…。

  • 両手に物を持って移動できない
  • 徒歩1分の場所にスーパーがあるのに、買い物は困難
  • ちょっとした段差が 大きな障害 になる

でも、不便さを感じる一方で、人間は意外と適応する ものだということも実感しました。
キッチンや洗面所に椅子を配置して作業できるようにしたり、ニースクーター(片膝を乗せて移動するスクーター)を導入して移動の工夫をしたり…。

「これができない」と嘆くのではなく、「どうすればできるか?」と考えることで、少しずつ快適に生活できるようになりました。制限があるからこそ生まれる「創意工夫」。これは、骨折をしなければ気づけなかったことかもしれません。

「人に頼ること」の大切さ

今回の骨折が、日本ではなく、ニューヨークで起こったこと。
それは私にとって、単なる怪我以上の試練でした。

日本にいたら家族がそばにいて、当然のように助けてもらえたかもしれません。
でも、私はニューヨークで一人暮らしの身。頼れるのは友人や同僚、そして時には見知らぬ人たちでした。

最初は申し訳ない気持ちでい大ぱいでしたが、実際に友人やアパートの人たちに助けてもらい、「助けを求めることは悪いことじゃない」と思えるようになったのは、大きな学びでした。

骨折当日にバスに乗って駆け付けてくれて、その後も通院の度に付き合ってくれたOさん、車椅子やニースクーターが届く度に組み立てを手伝ってくれたコンシェルジュのお兄さん。買い物やPTへの送迎を買って出てくれた友人たち。ちょっとした段差を下りる私に手を差し伸べてくれた見知らぬ人…。

それまではどこか「一人で頑張らなきゃ」と思い込んでいましたが、友人や周りの人たちのサポートのありがたさを改めて実感する日々でした。

一方で、やはり家族には誰よりも気兼ねなく甘えることができました。手術に付き添ってくれた息子や術後の一番痛い時にそばにいてくれた娘の存在も本当にありがたかった。そして、年末年始に夫が来てくれた時には、「ようやく誰かに気兼ねなく頼れる」とホッとしたのを覚えています。

より健康になりたい!

以前のブログでも書きましたが、私の治療はこれまで「6週間」を一つの単位としてステップアップしてきました。次の6週間後には、きっともっとスムーズに歩けるようになっているはず。もしかしたら、自転車なんかも乗れているかな?

でも、ただ元の状態に戻るだけではなく、今回の経験を活かして、80代のおばあちゃんになってもスタスタ歩けるような、より健康な体を作っていきたい と思うようになりました。今後の私の目標はこんな感じです。

  • バランス感覚を鍛えるために、定期的に筋トレを継続
  • 体幹を強化し、転倒しにくい体づくりを目指す
  • 「無理をしない」ことを大切にしながら、着実に回復する

骨折をきっかけに、今まであまり意識してこなかった「自分の体」と向き合うようになりました。
この経験を無駄にせず、今後も健康を大切にしていきたいと思います。

終わりに

長かった骨折シリーズも、これで一旦終了です。
読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました!

もし私と同じように骨折や怪我をしてしまった方がいたら、このブログが少しでも参考になれば嬉しいです。
そして何より、今自由に歩ける方は、「歩けることの喜び」を存分に楽しんでください!

骨折は大変だったけれど、振り返ってみれば、それ以上に「気づき」の多い時間でした。
きっとこれからも、何かの形でこの経験が活きてくるのだと思います。

次はどんなことを書こうかな?もう、今回みたいな「大怪我」はしたくないけれど、このくらい夢中になって書くことのできる題材があると良いなー。

Peatix
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この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

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