私の主宰しているスピーチを練習するコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」では、受講生の皆さんに、最後にスピーチを作成し、発表していただく機会を設けています。その関連で前回から「伝わる!スピーチの作り方」をテーマに書いています。前回はこちらについて書きました。
今回は「原体験」について書きます。「原体験」とは今やっていること、これからやりたいことについて、幼少期などの体験(期間は必ずしも「子ども時代」である必要はありません)でそこに結び付いているもので、それを思い出し、ひも解いてみることにより、「だから私はこれが好きなんだ。これをやろうとしているんだ。」とストンと腹落ちすることが多いのです。
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このテーマについては以前私もシリーズで書いているのですが、私の場合は子ども時代、本を読んだり日記、作文を書くことが好きだったことが現在やっていることに繋がっていますし、学生時代の語学や海外との出会いが現職や現在のニューヨークでの暮らしに繋がっています。
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過去をひも解くことで見える、今の自分
では具体的には、どんな風に振り返れば良いのでしょうか?
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Aさんの場合:
Aさんは子ども時代、自分の名前の漢字が嫌いでした。でも、小学校時代のある時、名前の由来を聞くという宿題が出ました。その時、自分の名前にはご家族の大切な思いが込められていることを知りました。Aさんはその時から自分の名前に対する捉え方がガラッと変わりました。そして結果として現在はその名前の意味を生かした仕事に従事されています。
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Bさんの場合:
Bさんは数年前にご家族との死別を経験されました。とても落ち込み、辛い毎日を過ごされていましたが、その時に出会った「グリーフケア」を通し、過去の色々なことを「書く」という作業に向き合い、気持ちがとてもすっきりしたことに驚きました。その後も「書く」という作業を再び経験され、その効果をさらに実感、現在はその「書くこと」で1日を始める、というプログラムを始められています。
このようなイメージです。
もちろん、子ども時代、学生時代の夢や思いを叶え、現在やっていることに繋がっている人もいますが、大半の人はそこにリンクを感じていない人が多いのではないでしょうか。でも、少し立ち止まってこのようなイメージですが、もしかしたら皆さんが思い出せていないことで、まだまだ眠っている過去の経験があるかもしれません。
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「嫌いだったこと」もヒントに
さて、少し意外かもしれませんが、昔「好きだったこと」だけでなく「嫌い、嫌だったこと」にヒントが隠されている場合もあります。
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例えば、子ども時代、学校での大人数の教育に閉塞感を感じ、居心地が悪かった、という人が、大人になり、お子さんの心の安全基地になるような、少人数の教育の場を作る、というようなこともあります。「反面教師(悪い見本として反省や戒めの材料となる物事や人)」という言葉がありますが、それに近いかもしれません。
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また、子ども時代に貧しい生活をしていた人が、それをバネに将来大成功するストーリーは、考えてみるとたくさんありますね!これもやっぱり子ども時代の原体験が影響していると言えるでしょう。ㅤ
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皆さんも、このように、子ども時代や数年前までの出来事を少し思い返してみて下さい。
具体的には
「子ども時代(~数年前まで)の経験で印象に残っていること(好きだったこと、嫌いだったこと)」ㅤ
を振り返る時間を作ってみて下さい。
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そこにあなたの「今」に結び付く何かがあるとしたら、そこが「あなたの魅力」や「(他の誰かではなく)あなたが選ばれる理由」になる可能性があります。スピーチやストーリーを作る際にこの作業を経ると経ないとではその後の話の重みも違ってきますので、是非一度振り返ってみてくださいね。
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