ストーリーテリングについて語るブログ

原体験を振り返ろう(その1)~子どもの頃に好きだったこと

スピーチをする上で、「自分のやっている仕事、活動について伝えたい」というニーズはとても高いです。ただ、それを伝えるには、「なぜあなたがそれをやっているのか」「なぜ(他の人ではなく)あなたである必要があるのか」ということが説明できると、より聞き手にとっても理解が深まります。そして、あなたが今やっている活動や伝えたいことには必ず「原体験」となる出来事があるはずです。今回はそんなあなたが「鉄板スピーチ」を作る上で、その「原体験」を振り返る、というテーマで書いていきます。


子どもの頃、私たちは無限の好奇心と探求心を持っていました。私も例外ではなく、いくつか夢中になっていたことがあります。今回は私のそんな経験を通じて、子ども時代の経験が今の自分にどんな影響を与え、どのように繋がっているのかを振り返ってみたいと思います。

本の世界

幼い頃、私は本の世界に夢中でした。特に「〇〇全集」のようなものは大好きで、当時女の子が読む「赤毛のアン」、「若草物語」、「小公女」などの類は大体制覇していましたし、伝記シリーズも当時出ているものは9割程度は読んだのではないかと思います。それから少女漫画(「ベルサイユのばら」や「ガラスの仮面」など)の世界にはまったりもしました。当時は町の小さな本屋兼文具屋さんのようなところにお小遣いを握りしめて出かけ、本を立ち読みしたり、たまに買ったりというようなことをしていました。

一旦本を読みだすと、次々とページをめくる手が止まらなかったのを覚えています。本を読むことで、異なる世界や時代に旅をし、さまざまなキャラクターと出会うことができました。この体験が、私の想像力をかき立て、色々なことを空想していました。今振り返ると、小学校の間は自分の中の3割ほどはその「空想の世界」の中で生きていたのではないかと思います。

本を通じて得た知識や感動は、私に考える力を与え、表現力を高めてくれました。これらのスキルは現在私が好んでやっている、「文章を書くこと、表現すること」の根本になっています。

文を書くこと

読書と連動して、子どもの頃から、私は文を書くことが好きでした。低学年時代は毎日日記を書いて先生に提出していましたし、作文を書くことも、当時は苦に感じた経験がありません。文を書くことで、自分の考えを整理し、言葉を通して自分の感情や思いを表現していたのだと思います。中学生時代に国語の先生に自分の作文を選んでいただいた時は、何だかとても誇らしく、自分の思いを言葉で表現できることに、自分の世界が広がった気がしたことを憶えています。

社会人になってからは、仕事で原稿を書いていたこともありましたが、どちらかというと、自分の思いというよりは、事実を伝えることに終始していました。でも、数年前からブログを始め、少しずつですが、自分の考えや経験を発信することを始めるようになりました。私にとって「文を書くこと=頭や心で考えていることを発信する手段」であり、他者とのコミュニケーションのツールとなっています。

話すこと

もう一つ、私が子どもの頃に夢中になっていたのは「話すこと」です。家族がラジオを聞いているのを真似て、当時家にあった「ラジカセ」に録音し、自分がラジオパーソナリティーになりきって、「ラジオごっこ」をすることが大好きでした。マイクを前に、自分の番組を作り、架空のリスナーに向かって話したり、当時はやっていた曲の紹介をしたりしていました。今は当時のカセットテープも、それを再生する機械も残っていないけれど、「今それを聞いたらどんな気持ちになるんだろう?」と、懐かしくも甘酸っぱい思い出です。

その後中学に上がった後は、この遊びはやっていないですし、その後の仕事も「話すこと」には特に関係していないのですが、大人になってから、音声型SNSで少し番組のようなものを経験した時、この小学生当時の思い出がよみがえりました。最近私が取り組んでいる「スピーチを練習し、人前で自信をもって話せる人を増やす」という活動の根本には、この時の経験が原体験として残っているのかもしれません。当時の経験は「スキル」と呼べるようなものではないけれど、「人前で話す」とか「表現する」ことへの興味が私の中に残っていたのかな、と思います。

誰にでもある、原体験

このように、私の場合、子どもの頃に夢中になった本を読むこと、文を書くこと、話すことは、その後就いた仕事には直接繋がりませんでしたが、その後40年近くを経て、やり始めた今の活動に繋がっています。それは私が「(誰に強制されたわけでもなく)自分が心からやりたいと感じて、始めたこと」だからかもしれません。

皆さんも、自分の子どもの頃に好きだったこと、興味を持ったことを振り返ってみてください。特に、あなたが最終的に「好きだな」と思って行き着いた仕事や活動があるとしたら、きっとそこに繋がる「原体験」があるのではないかと思います。そこが繋がると、「どういう思いで自分は〇〇を広めたいのか?」「〇〇に取り組んでいるのか」を伝える説得力がグンと増すはずです。

この取り組みは私の主宰しているコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」でもワークショップとして実施予定です。個人/ペアワーク、発表などを通じて、それぞれのスピーチに繋がる原体験を探っていきます。5月から始まったこの講座、最終的には9月に1本のスピーチに仕上げていきますが、その過程でも、この「原体験」は外せないステップです!

次回はこちら。

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この記事を書いた人

米・ニューヨーク在住。ストーリーを使った「ストーリートーキングⓇ講座」認定講師。スピーチコミュニティ「伝わる!スピーチ道場」主宰。
こちらのブログでは「ストーリーテリング」、「スピーチ」を中心に、書くことで人の強みを発掘し、話すことで相手の心を掴む話し方、をテーマに書いています。

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